Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


「二人とも…無事…ですよね…。
ねぇ…大丈夫ですよね?!」

松下が青ざめた表情で、心の中に見え隠れする最悪の事態を否定して欲しい想いで、みんなの顔を見る。

しかし、誰もそれに答えることができない。



「とにかく…待とう。俺達にできることは、無事を信じて、祈って、待つことしかできない。
そして、アイツらが戻って来た時に、一緒に最高のステージを演る。
今は余計なことを考えるのはよそう」


青木の強い意思のこもった言葉に、メンバー達が頷く。

ただ無事だと思いたい。
そう願いたい。
心の中に渦巻くどす黒い胸騒ぎ、
どうしようもない焦燥感、
それを捩じ伏せる方法は、ただ信じる以外にはなかったのだ。

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