Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
『clair de lune』(クレール・ド・リュンヌ)の事務所内でも、店長とウエイターの水島が、ニュースを観ていた。
「店長!以前、日浦さんのCMをこの店貸し切りで撮影したことありましたよね?さっき、ニュースで言ってた“ 化粧品のCMプロデューサー ” って…あの時の人のことじゃ…」
「えっ?あぁ…あの時のやたら背の高い美形の外人さんのことか?」
「そうです、そうです!裏方とは思えないオーラがあったんで、すっごく覚えてるんですけど…。
あの人も行方不明って…」
「ん?…水島…ちょっと待て」
店長は水島の言葉を遮るように掌を向けると、今度はその掌を額につけて考え込んでしまった。
「どうしたんですか?店長」
「イブの夜に居なくなった新人バイトくんさ…、確かその人の甥っ子だ」
「え?そうなんですか?そう言えば彼も、色白で西洋風の外人さんっぽい顔してましたね」