Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
ゆっくりと目を動かしてみると、そこは見覚えのあるハルの部屋のベッドの上だった。
俺は…どうしてここに?…
天井を凝視して、記憶を引き摺り出す。
だんだん覚醒して行く頭の中…
昨夜は、ハルとクリスマス・ディナーの約束をしていた。
その店で起きた、あまりに不可解な出来事。
そして “ あの男 ” によって深い森の中に連れ去られたハルは、そこで命を落とした。
そんな忌まわしい記憶がアキの脳裏に甦り、再び背筋が凍る。
しかし、今、死んだ筈のハルが目の前に居る。
そしてその肩越しに、ハルが寝ていたと思われるソファーの上のブランケットが、慌てて跳ね起きたせいなのか、乱れて半分落ちかかっているのが見えた。