Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


「…ん〜…そうだな…。
イブに食事した帰りに乗ったタクシーが事故に遭って、病院に運ばれたけど、記憶喪失で…とか?」

「二人共か?それに自分が記憶失くしてどこの誰だかわからなくなったとしても、世間では俺らの顔、盛大に割れてるぞ。
アキ、俳優としては一流だけど、脚本家にはなれねえな」

「うるっさい!じゃ、ハル、何か考えてみろよ」

「う〜〜ん…」



そこにアキのスマホのバイブが響き、アキは慌てて手を滑らせて落としそうになった。

「マネージャーからだ…」

「と、とにかく出るしか…」

「う、うん…」

アキはハルと目を合わせながら、電話の向こうの空気を伺うように恐る恐るスマホを耳に当てた。

「アキ?!アキくんなんだね?!
やっと繋がった!無事なのか?!
ハルくんも一緒に居るんだよね?」

マネージャーの興奮と安堵が、声のテンションから嫌というほど伝わって来た。

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