Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


そんな内容の話を聞いて、美希は大きく息を吐いた。
心底安心した気持ちが、電話越しに菜穂子に伝わって行った。

「美希、どうせあれからちゃんと眠れてないんでしょ?今日はバイトもないんだよね?今からでもゆっくり寝なさいよ」

穏やかにそう言った菜穂子に感謝の気持ちを伝え、電話を切ると、入れ違いに梨香からラインがあった。

「美希、良かったね。ハル、ちゃんと帰って来たね!」

そのメッセージの後の、クールな梨香にはあまり似合わないような狂喜乱舞するネコのスタンプに思わず笑みが溢れてしまう。


レースのカーテンから射し込む光が、いつもより眩しい気がした。
美希は、昨日とはまるで違う朝の空気を思い切り吸い込んでみる。


美希の頭の中では、ハルが今夜立つであろうステージの上で、生き生きと躍動的に動いている眩しい姿が、映像のように流れていた。

< 220 / 228 >

この作品をシェア

pagetop