Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
アキとの未来…
本当は、俺だって何度も想像した。
けれど、それは決して想像の域を越えることはないと思っていた。
自分の叶えられなかった恋が、こんな男の想いを成就させる為に利用されることになるなんて…
本当は、悔しくて悔しくてたまらない。
だけど…
アキを悲しませることだけは…
アキの命が奪われることだけは…
絶対に嫌なんだ。
ハルは、自分の持つ愛情の全てを、アキのために注ぐ決意をした。
これは、断じてこの男の為ではない。
「さぁ、どうにでも好きなようにしろ!」
ハルは強い眼差しで、男を睨み、そう言い放った。