カムフラージュ
通学路を歩きながら、涼太とたわいもない話でもりあがる。
そんな時間も好きだった。
「加恋?」
『ん~?』
「俺さ、部活入ることにしたんだ。」
微笑みながら涼太がそう言った。
『部活?涼太が?』
「そ。部活。だからさ、これから加恋と登下校できなくなるんだ。突然ごめんな?」
涼太はほんとに優しい。
そんなの全然構わないのに。
毎朝、涼太がうちに迎えに来てくれるのだってお母さんが涼太に頼み込んだから。
「加恋と登下校をしてあげてほしい。」って。
で、涼太はそれを快く引き受けてくれたってわけ。
「加恋といると楽だから。」って。
私も涼太といるとすごく楽だし、楽しいから涼太と一緒に登下校できるのはいいなって思った。
どうやら、お母さんは私達をくっつけようとしたらしい。
うちのお母さんはもちろん、涼太のお母さんとも仲がいいから、「ぜひ親戚になりたいものねー。」とか言ってた。
さすがに“涼太と私の赤ちゃんが見たい”って、たくらみながら言ったお母さん達を見たときには背筋がぞっとしたけど。