夢幻の騎士と片翼の王女
「あの…それで……」
裏返しになったままのカードはまだありました。
どんなことが起こるのか、私がそれを訊ねようとした時でした。
不意に扉が大きく開き、それと同時に突風が巻き起こり、テーブルの上のカードが木の葉のように舞いました。
「あっ!」
「これは申し訳ないことを致しました。」
扉の前に立っていたのは、アルフレッドでした。
つい最近、この城に雇われるようになった若い魔導士です。
長身で、絹糸のような光沢を持つ銀髪を腰のあたりまで伸ばしています。
とても端正な顔をしているのですが、彼の灰色の瞳を見ていると、なにか…術にでもかけられてしまうような、言いようのない不気味さを感じます。
アルフレッドは、まだ若いというのに、すでにエドモンドと変わらぬ程、有能な魔導士だという話ですが、私はどうもこの人が苦手でした。
特に明確な理由があるというわけではないのですが、彼のことがどうにもそら恐ろしいのです。
「アルフレッド…ノックくらいしたまえ。」
「大変申し訳ございません。」
アルフレッドはエドモンドに向かって深々と頭を下げました。
「なんと、姫様ではありませんか…!
どうして、こんなところに…?」
「え…あ…あの、最近、体調が良くなかったものですから、それで少し心配になりまして…」
「体調が?そんなことなら、私におっしゃって下されば、すぐにでも治してさしあげますのに…」
「あ、ありがとう。
でも……」
「姫様の体調不良は最近の天候のせいだった。
すぐに回復すると出ていたし、案ずることはない。」
エドモンドが私の代わりに答えてくれました。
恋煩いということも隠してくれたので、私はほっとしました。
裏返しになったままのカードはまだありました。
どんなことが起こるのか、私がそれを訊ねようとした時でした。
不意に扉が大きく開き、それと同時に突風が巻き起こり、テーブルの上のカードが木の葉のように舞いました。
「あっ!」
「これは申し訳ないことを致しました。」
扉の前に立っていたのは、アルフレッドでした。
つい最近、この城に雇われるようになった若い魔導士です。
長身で、絹糸のような光沢を持つ銀髪を腰のあたりまで伸ばしています。
とても端正な顔をしているのですが、彼の灰色の瞳を見ていると、なにか…術にでもかけられてしまうような、言いようのない不気味さを感じます。
アルフレッドは、まだ若いというのに、すでにエドモンドと変わらぬ程、有能な魔導士だという話ですが、私はどうもこの人が苦手でした。
特に明確な理由があるというわけではないのですが、彼のことがどうにもそら恐ろしいのです。
「アルフレッド…ノックくらいしたまえ。」
「大変申し訳ございません。」
アルフレッドはエドモンドに向かって深々と頭を下げました。
「なんと、姫様ではありませんか…!
どうして、こんなところに…?」
「え…あ…あの、最近、体調が良くなかったものですから、それで少し心配になりまして…」
「体調が?そんなことなら、私におっしゃって下されば、すぐにでも治してさしあげますのに…」
「あ、ありがとう。
でも……」
「姫様の体調不良は最近の天候のせいだった。
すぐに回復すると出ていたし、案ずることはない。」
エドモンドが私の代わりに答えてくれました。
恋煩いということも隠してくれたので、私はほっとしました。