夢幻の騎士と片翼の王女
逃げ出せば良かったのだ。
そうすれば、私はあんな酷いことをすることはなかった
意地を張ってあんなところに長くいたから…



今更、そんなことを言っても仕方がない。
私は罪を犯してしまったのだ。
それも、とても贖うことの出来ない重い罪を…



それからの私はめちゃくちゃだった。
悪いことはなんでもやった。
人間なんてもう誰も信じられない。
人間だって私を信じてはくれないのだからおあいこだ。
私はとことんまで堕ちてやろうと思った。
皆が思ってる通りの、悪魔のような魔導士になってやろうと…



町を転々としているうちに、私はある森の中に立ち寄った。
そこはロイドさんと暮らした山の中によく似ていて、私の荒んだ心がほんの少し癒されるような気がした。
私は湖のほとりに座り、暇つぶしに水を操っていた。



その時…彼女と出会ったのだ。



そう、幼き日のアリシアだ。

< 122 / 277 >

この作品をシェア

pagetop