夢幻の騎士と片翼の王女
絶望と歌声(side 亜里沙)
「亜里沙様、そんなに泣かれてはお体に障ります。」
「せめてお食事を…」
メアリーさん達には心配かけて悪いと思ったけど、私はどうにも涙をとめることが出来なかった。
それは、例の授業のせい。
最初の日は私が泣いたから授業は中断されたけど、次の日からは泣いても許してはもらえなかった。
どんなに泣いても叫んでも、三人は平然としたもので、私は男性を気持ち良くさせる方法を教え込まれた。
しかも、授業はまだこれからも続くという…
人間としての尊厳を踏みにじられたようなどうしようもない気持ちに、私は泣くことしか出来なかった。
いくら相手が王子だとしても、こんなこと、名誉でもなんでもない。
正直言って死んでしまいたいような気持ちだったけど、小心な私には死ぬことも出来ない。
死ぬ方法だってない。
窓は届かない程高くて小さいし、刃物はないし…
あったところで、きっと私には怖くて出来ないとは思うけど、心の一部は確かに壊れて死んでしまった。
あの時、私が壺を壊しさえしなければ…
こんなおかしな世界に来なければ、こんな辛い想いをすることはなかったのに…
(お母さん…お父さん…お兄ちゃん……)
帰りたい…帰りたいよ!
懐かしい家族の顔が頭をかすめ、私の涙はなお激しく流れ出した。
「せめてお食事を…」
メアリーさん達には心配かけて悪いと思ったけど、私はどうにも涙をとめることが出来なかった。
それは、例の授業のせい。
最初の日は私が泣いたから授業は中断されたけど、次の日からは泣いても許してはもらえなかった。
どんなに泣いても叫んでも、三人は平然としたもので、私は男性を気持ち良くさせる方法を教え込まれた。
しかも、授業はまだこれからも続くという…
人間としての尊厳を踏みにじられたようなどうしようもない気持ちに、私は泣くことしか出来なかった。
いくら相手が王子だとしても、こんなこと、名誉でもなんでもない。
正直言って死んでしまいたいような気持ちだったけど、小心な私には死ぬことも出来ない。
死ぬ方法だってない。
窓は届かない程高くて小さいし、刃物はないし…
あったところで、きっと私には怖くて出来ないとは思うけど、心の一部は確かに壊れて死んでしまった。
あの時、私が壺を壊しさえしなければ…
こんなおかしな世界に来なければ、こんな辛い想いをすることはなかったのに…
(お母さん…お父さん…お兄ちゃん……)
帰りたい…帰りたいよ!
懐かしい家族の顔が頭をかすめ、私の涙はなお激しく流れ出した。