夢幻の騎士と片翼の王女
私の姿をみつけた使用人が、門の前で頭を下げました。
その時です。
私の前に、貴族風の若い男が飛び出して来たのです。
男は、腰の長剣を引き抜きました。
「アリシア様、お覚悟を…!」
その男には面識はありませんでしたが、彼の目に宿る殺意は本物でした。
殺される…!
背中を冷たい汗が流れ、足がすくんで震えました。
男は剣を構え、私に向かって突進して来ました。
その目はぎらぎらと異様に光っていました。
先程の使用人の甲高い悲鳴が、あたりに響き渡りました。
私は目を瞑りました。
もう逃げることは出来ない。
私はあの男に刺し貫かれることでしょう。
「うっ…」
くぐもった低い声……
不思議なことに、私は刺された痛みを感じませんでした。
目を開けると、私をかばうようにしてリチャードが立っていました。
男の剣は、私ではなくリチャードの身体を背中から貫いていたのです。
「リチャード…!!」
「畜生!」
男は力任せに剣を引き抜きました。
赤黒い血が、どくどくとリチャードの身体から流れ出ます。
リチャードは顔を歪ませ、低いうめき声をあげました。
そして、血がにじむほど唇を強く噛むと、剣を引き抜き、正面から男に向かってその剣を振り下ろしました。
まるで噴水のように血しぶきが上がり、リチャードの身体は真っ赤に染まりました。
彼の綺麗な金の髪も、赤く染まっています。
男は、目を大きく見開き、どうっと前のめりに倒れこみました。
それと時を同じくして、リチャードも同じような態勢でくずおれました。
リチャードの背中からはおびただしい血が流れ…
情けないことですが、私は目の前の凄惨な出来事に、ただ、泣き叫ぶことしか出来ませんでした。
その時です。
私の前に、貴族風の若い男が飛び出して来たのです。
男は、腰の長剣を引き抜きました。
「アリシア様、お覚悟を…!」
その男には面識はありませんでしたが、彼の目に宿る殺意は本物でした。
殺される…!
背中を冷たい汗が流れ、足がすくんで震えました。
男は剣を構え、私に向かって突進して来ました。
その目はぎらぎらと異様に光っていました。
先程の使用人の甲高い悲鳴が、あたりに響き渡りました。
私は目を瞑りました。
もう逃げることは出来ない。
私はあの男に刺し貫かれることでしょう。
「うっ…」
くぐもった低い声……
不思議なことに、私は刺された痛みを感じませんでした。
目を開けると、私をかばうようにしてリチャードが立っていました。
男の剣は、私ではなくリチャードの身体を背中から貫いていたのです。
「リチャード…!!」
「畜生!」
男は力任せに剣を引き抜きました。
赤黒い血が、どくどくとリチャードの身体から流れ出ます。
リチャードは顔を歪ませ、低いうめき声をあげました。
そして、血がにじむほど唇を強く噛むと、剣を引き抜き、正面から男に向かってその剣を振り下ろしました。
まるで噴水のように血しぶきが上がり、リチャードの身体は真っ赤に染まりました。
彼の綺麗な金の髪も、赤く染まっています。
男は、目を大きく見開き、どうっと前のめりに倒れこみました。
それと時を同じくして、リチャードも同じような態勢でくずおれました。
リチャードの背中からはおびただしい血が流れ…
情けないことですが、私は目の前の凄惨な出来事に、ただ、泣き叫ぶことしか出来ませんでした。