夢幻の騎士と片翼の王女
*
「リチャード!!」
棺の中には、白い百合に囲まれ、安らかな顔をしたリチャードが眠っていました。
彼はいつもと何も変わらず、今にも起きだしてきそうです。
「リチャード…悪ふざけはやめて…
ねぇ、起きて…起きてよ…!」
私は彼の肩を揺さぶりました。
「アリシア、およしなさい。
彼はもう死んだのです。」
「そんなことありません。
彼は生きてます!
だって、彼はまだ若くて健康で……
ね?リチャード…そうよね?
ふざけてるだけなのよね?」
「アリシア!」
乾いた音が、部屋の中に響きました。
お母様が私の頬を打ったのです。
「お母様……」
手を挙げられたことは、生まれて初めてのことでした。
頬の痛みが頭に伝わり、私を正気に戻し、その途端に熱い涙が込み上げました。
「お母様…私……」
「アリシア…リチャードは神の元へ旅立ったのです。
ジョシュアと同じように……」
(ジョシュア兄様と同じように…)
その言葉が、リチャードの死を俄かに強く感じさせました。
「お母様……リチャードは、わ、私のために…」
「その通りです。
でも、そのことをあなたが気に病むことはありません。
リチャードは、自分の役目を全うしたのですから、思い残すことはなかったでしょう。」
「そ、そんな!リチャードは……リチャードは……」
「彼は最後に、あなたの無事を確認したそうです。
無事だとわかると、とても満足したような顔をして事切れたと、メアリーが申しておりました。」
(リチャード……)
最後の最後まで、リチャードは私の身を案じてくれた。
そのことが、ありがたくて嬉しくて…そして、苦しくてたまらない気持ちになりました。
「リチャード!!」
棺の中には、白い百合に囲まれ、安らかな顔をしたリチャードが眠っていました。
彼はいつもと何も変わらず、今にも起きだしてきそうです。
「リチャード…悪ふざけはやめて…
ねぇ、起きて…起きてよ…!」
私は彼の肩を揺さぶりました。
「アリシア、およしなさい。
彼はもう死んだのです。」
「そんなことありません。
彼は生きてます!
だって、彼はまだ若くて健康で……
ね?リチャード…そうよね?
ふざけてるだけなのよね?」
「アリシア!」
乾いた音が、部屋の中に響きました。
お母様が私の頬を打ったのです。
「お母様……」
手を挙げられたことは、生まれて初めてのことでした。
頬の痛みが頭に伝わり、私を正気に戻し、その途端に熱い涙が込み上げました。
「お母様…私……」
「アリシア…リチャードは神の元へ旅立ったのです。
ジョシュアと同じように……」
(ジョシュア兄様と同じように…)
その言葉が、リチャードの死を俄かに強く感じさせました。
「お母様……リチャードは、わ、私のために…」
「その通りです。
でも、そのことをあなたが気に病むことはありません。
リチャードは、自分の役目を全うしたのですから、思い残すことはなかったでしょう。」
「そ、そんな!リチャードは……リチャードは……」
「彼は最後に、あなたの無事を確認したそうです。
無事だとわかると、とても満足したような顔をして事切れたと、メアリーが申しておりました。」
(リチャード……)
最後の最後まで、リチャードは私の身を案じてくれた。
そのことが、ありがたくて嬉しくて…そして、苦しくてたまらない気持ちになりました。