夢幻の騎士と片翼の王女



「え?旅行…ですか?」

「いやなのか?」

「い、いえ、そうではありません。
ただ、突然のことだったので…」

「そうか、ならば問題ないな。」



朝食の席で、アドルフ様は私を旅行に誘われた。
なんでも、私のお屋敷を建てる場所を探しに行くとのこと。



「アリシアは、どういう所が良いのだ?」

「え?わ、私は…どこでも…」

私がそう言うと、ドルフ様は困ったような顔をされた。



「もっと自分の意思を言って良いのだぞ。」

「え…あ、はい。」

アドルフ様は本当にお優しい…
こういう人の側室になれた私は、もしかしてラッキーだったのかな?



でも…やっぱり、アノことは心配…
あ、そっか!…アドルフ様、ここにはお妃さまがいらっしゃるから、私に手を出し辛くて…
もしかして、それで、旅行に…



(ってことは、旅行に出た明日の晩…)



マリエッタさんの授業が頭をかすめる。
なんだかこんな風に伸ばされると、余計に緊張が大きくなってしまう。
でも、私にはどうすることも出来ない。
すべてはアドルフ様のお気持ち次第なんだもの…

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