夢幻の騎士と片翼の王女
これは天罰なのかもしれない…



私はふとそんなことを考えました。
私がリチャードのことを愛してしまったから…
結ばれることがないことをわかっていながら、彼を愛してしまったから…
だから、神様が私にこんな酷い罰を下されたのかもしれません。



リチャードを殺した男は、隣国の貴族の息子だということがわかりました。
なぜ、私の命を狙ったのかは、結局、わからず仕舞いです。



彼の死以来、私がふさぎ込んでいることから、婚礼を早めることになりました。
協議の結果、北の小国ルシリア王国の第二王子、セドリック王子と結婚することになりました。



着々と婚礼の準備が進む中、私は心に大きな穴を開けたまま、流されるように日々を過ごしました。
いよいよ、明日が婚礼の日です。
普通なら、花嫁の心の中は薔薇色に染まっているのでしょうが、私はまるで他人事のように感じていました。
元々、顔も知らず、欠片程の愛情さえ感じていないお相手です。



そう…私はこの国のため…国民のため…
私の背負った定めに従い、結婚するだけのことですから。

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