夢幻の騎士と片翼の王女




(さぁ、行くわよ!)



お風呂を済ませた私は、寝衣に着替え、薄くお化粧をして、アドルフ様のお部屋に向かった。



はしたないと思われるだろうか?
いや、きっとそんなことはない。
アドルフ様は、私のことを気遣って下さってるだけ。
私にそんなお色気はないとは思うけど、アドルフ様は若い男性なんだもの。
きっと、私から積極的に行ったら、拒まれるはずはない。



(うん、絶対に大丈夫!)



不安な気持ちを押さえつつ、私は扉をノックした。



「誰だ?」

「あ、亜里沙です。」



扉を開いたアドルフ様は、驚いたような顔をされていた。



「どうした?何かあったのか?」

「い、いえ…ただ…アドルフ様と少しお話がしたくて…」

「話…?そうか…」



アドルフ様は私を部屋の中へ通して下さった。
促されるまま、私とアドルフ様はテーブルをはさんで向かい合わせに座った。
本当は並んで座りたかったのだけど…



「それで、どんな話だ?
屋敷のことか?」

「えっと…そ、そうです。」



決心はして来たものの、いきなり抱いて下さいとはさすがに言えなくて、私達はしばらくお屋敷の話を交わした。
< 196 / 277 >

この作品をシェア

pagetop