夢幻の騎士と片翼の王女
*
「わかった。
では、それに沿うような屋敷を建てよう。」
「あ、ありがとうございます。」
話が一段落し、気まずい沈黙が流れた。
「話し合いはこのくらいにしておこう。
今日は疲れているだろうから、もう部屋に…」
「あ、アドルフ様…わ、私……」
「なんだ?」
言うしかない!
このまま部屋に戻ったのでは、頑張ってここに来た意味がない!
「アドルフ様…私は…あなたの側室ですよね?」
「今更、なぜそのようなことを訊く?」
「え…えっと……その…
で、でしたら、今夜、私を…その…」
いざとなるとやっぱり言いにくくて、もごもご言ってたら、アドルフ様の表情がだんだん強張って来て…
「……誰かに言われたのか。
私を誘惑しろと。」
「と、とんでもございません。
そ、その…だから、私……」
「アリシア……」
アドルフ様は、私の手首をきつく握られた。
「良いか、良く聞け。
誰に何を言われたのかは知らないが、こういうはしたない真似は二度とするな。
私は欲のために、おまえを側室にしたのではない。
私は…私は…お前の心がほしいのだ。」
「……こ、ころ…ですか?」
それは、とても意外な言葉で…
私にはアドルフ様のおっしゃる意味が良くわからなくて…
「そうだ…私は…おまえを本気で愛している。
私には妃がいるのに何を…と思うかもしれないが、ジゼルには愛情の欠片さえもない。
王子と言う立場上、あいつとは別れることは出来ないが、私は…私はおまえを愛してるのだ。」
「アドルフ様…」
リュシアン様と同じだった。
その灰色の瞳には、嘘は微塵も感じられない。
なんだか怖くなる程に、その視線はまっすぐだった。
「私は、おまえの心が欲しい。
私のことを心底愛し、信頼してほしい。
少しずつで良いんだ。
焦らず、少しずつ、私のことを知ってくれ。」
アドルフ様の話を聞いてたら、なんだか自分自身が恥ずかしくなって、涙がこぼれた。
だって、アドルフ様は本当に真剣に話して下さったんだから。
恥ずかしくて情けなくて、溢れる涙はどんどん激しさを増した。
アドルフ様は、そんな私の涙を優しく拭って下さった。
「ごめんなさい、アドルフ様。」
「気にするな。
さぁ、部屋に戻ってゆっくりと眠りなさい。
私が部屋まで送って行こう。」
「わかった。
では、それに沿うような屋敷を建てよう。」
「あ、ありがとうございます。」
話が一段落し、気まずい沈黙が流れた。
「話し合いはこのくらいにしておこう。
今日は疲れているだろうから、もう部屋に…」
「あ、アドルフ様…わ、私……」
「なんだ?」
言うしかない!
このまま部屋に戻ったのでは、頑張ってここに来た意味がない!
「アドルフ様…私は…あなたの側室ですよね?」
「今更、なぜそのようなことを訊く?」
「え…えっと……その…
で、でしたら、今夜、私を…その…」
いざとなるとやっぱり言いにくくて、もごもご言ってたら、アドルフ様の表情がだんだん強張って来て…
「……誰かに言われたのか。
私を誘惑しろと。」
「と、とんでもございません。
そ、その…だから、私……」
「アリシア……」
アドルフ様は、私の手首をきつく握られた。
「良いか、良く聞け。
誰に何を言われたのかは知らないが、こういうはしたない真似は二度とするな。
私は欲のために、おまえを側室にしたのではない。
私は…私は…お前の心がほしいのだ。」
「……こ、ころ…ですか?」
それは、とても意外な言葉で…
私にはアドルフ様のおっしゃる意味が良くわからなくて…
「そうだ…私は…おまえを本気で愛している。
私には妃がいるのに何を…と思うかもしれないが、ジゼルには愛情の欠片さえもない。
王子と言う立場上、あいつとは別れることは出来ないが、私は…私はおまえを愛してるのだ。」
「アドルフ様…」
リュシアン様と同じだった。
その灰色の瞳には、嘘は微塵も感じられない。
なんだか怖くなる程に、その視線はまっすぐだった。
「私は、おまえの心が欲しい。
私のことを心底愛し、信頼してほしい。
少しずつで良いんだ。
焦らず、少しずつ、私のことを知ってくれ。」
アドルフ様の話を聞いてたら、なんだか自分自身が恥ずかしくなって、涙がこぼれた。
だって、アドルフ様は本当に真剣に話して下さったんだから。
恥ずかしくて情けなくて、溢れる涙はどんどん激しさを増した。
アドルフ様は、そんな私の涙を優しく拭って下さった。
「ごめんなさい、アドルフ様。」
「気にするな。
さぁ、部屋に戻ってゆっくりと眠りなさい。
私が部屋まで送って行こう。」