夢幻の騎士と片翼の王女
部屋に戻っても全く眠れなかった。



まさか、アドルフ様があんなに私のことを想っていて下さったなんて…



リュシアン様に傾いてた気持ちが、ぐらぐらするのを感じた。



でも、どうして?
どうして、私のことをそんなに愛して下さるんだろう?



今までにお付き合いをした人はいたけれど、あんなに純粋に告白されたことなんてない。
この世界は、確かに私のいた世界とはだいぶ違うけど、皆、あんなに純粋なんだろうか?



悪く言えば痛い程…リュシアン様もアドルフ様も、怖いくらい真剣だ。



それなのに、私ったら、早くアドルフ様に抱かれてリュシアン様を忘れようなんて…
どちらに対しても失礼なことをするところだった。



(ごめんなさい、アドルフ様…)



私は自分の意志でリュシアン様を忘れなきゃ…
そして、アドルフ様のお気持ちに応えられるようにならなきゃ…



泣き過ぎて顔が突っ張る。
でも、もう泣くのはこれでおしまい。
明日からは、気持ちを入れ替えよう…アドルフ様とのことをもっと真剣に考えようと、私は決心した。
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