夢幻の騎士と片翼の王女
*
「おめでとうございます!アリシア様!」
「セドリック様、おめでとうございます!」
婚礼の日は突き抜けるような快晴でした。
国民が、口々に私達に祝福の言葉を投げかけました。
この晴れやかな日のために、私は懸命に作り笑いを浮かべました。
私はやり遂げたのです。
自分の宿命を、果たしたのです。
(もう十分ですよね…?)
婚礼の夜…酷く疲れたので、今夜だけ、ひとりで休ませてくれとセドリック王子に頼みました。
彼はその願いを容易に聞き入れてくれました。
空には、丸い月が浮かんでいました。
丸くて明るい綺麗な月です。
その月を見ていたら、リチャードの笑顔に見えて来ました。
屈託のない少年のような笑顔に…
(……リチャード……もうすぐ会えるわね……)
そう思うと、何も怖くはありませんでした。
私は、隠し持っていた小瓶を取り出し、躊躇うことなく、それを喉に流し込みました。
「うっ…」
喉に焼けるような酷い痛みを感じましたが、それは束の間のことでした。
(リチャード……これできっと……)
私の記憶は……そこでぷっつりと途絶えました。
「おめでとうございます!アリシア様!」
「セドリック様、おめでとうございます!」
婚礼の日は突き抜けるような快晴でした。
国民が、口々に私達に祝福の言葉を投げかけました。
この晴れやかな日のために、私は懸命に作り笑いを浮かべました。
私はやり遂げたのです。
自分の宿命を、果たしたのです。
(もう十分ですよね…?)
婚礼の夜…酷く疲れたので、今夜だけ、ひとりで休ませてくれとセドリック王子に頼みました。
彼はその願いを容易に聞き入れてくれました。
空には、丸い月が浮かんでいました。
丸くて明るい綺麗な月です。
その月を見ていたら、リチャードの笑顔に見えて来ました。
屈託のない少年のような笑顔に…
(……リチャード……もうすぐ会えるわね……)
そう思うと、何も怖くはありませんでした。
私は、隠し持っていた小瓶を取り出し、躊躇うことなく、それを喉に流し込みました。
「うっ…」
喉に焼けるような酷い痛みを感じましたが、それは束の間のことでした。
(リチャード……これできっと……)
私の記憶は……そこでぷっつりと途絶えました。