夢幻の騎士と片翼の王女
小さな悪意(side リュシアン)
(亜里沙……)
亜里沙を呼び出し…夜の庭で話したのを最後に、俺は全く相手にされなくなった。
あの次の日から、亜里沙はアドルフと旅に出た。
公務も俺に押し付け、二人は何か月も戻って来なかった。
陛下もそのことには渋い顔をされてはいたが、幸い、特に大きな行事はなかったせいか、強く叱責されるようなこともなかったようだ。
どうやら、二人は亜里沙の住む屋敷のことで、旅をしていたようだ。
戻って来た二人は、以前よりずっと親しくなったように思えた。
当然のことだが、二人はきっと結ばれたのだ。
悔しくて悲しくて、俺はしばらく食事も喉を通らない程だった。
最初からわかっていたことなのに…
もう身も心もアドルフのものになったとわかっても、なお、俺の亜里沙への愛情は少しも冷めることはなかった。
燃えるような熱い想いが俺の胸を焦がしたが、その思いを亜里沙に伝えることは出来ない。
二人の間に入り込む隙さえないというのに…
いっそ、死んでしまった方が楽だ…そんなことを思うこともあったが、俺には死ぬ勇気もなかった。
やがて、ジゼルが子を出産した。
ジゼルの産んだ子供は男の子だった。
陛下も王妃も、それはもうたいそう喜ばれたが、当のアドルフは特に嬉しそうな顔も見せず、国民に王子の生まれたことを知らせたら、またすぐに亜里沙の元に戻ってしまった。
亜里沙を呼び出し…夜の庭で話したのを最後に、俺は全く相手にされなくなった。
あの次の日から、亜里沙はアドルフと旅に出た。
公務も俺に押し付け、二人は何か月も戻って来なかった。
陛下もそのことには渋い顔をされてはいたが、幸い、特に大きな行事はなかったせいか、強く叱責されるようなこともなかったようだ。
どうやら、二人は亜里沙の住む屋敷のことで、旅をしていたようだ。
戻って来た二人は、以前よりずっと親しくなったように思えた。
当然のことだが、二人はきっと結ばれたのだ。
悔しくて悲しくて、俺はしばらく食事も喉を通らない程だった。
最初からわかっていたことなのに…
もう身も心もアドルフのものになったとわかっても、なお、俺の亜里沙への愛情は少しも冷めることはなかった。
燃えるような熱い想いが俺の胸を焦がしたが、その思いを亜里沙に伝えることは出来ない。
二人の間に入り込む隙さえないというのに…
いっそ、死んでしまった方が楽だ…そんなことを思うこともあったが、俺には死ぬ勇気もなかった。
やがて、ジゼルが子を出産した。
ジゼルの産んだ子供は男の子だった。
陛下も王妃も、それはもうたいそう喜ばれたが、当のアドルフは特に嬉しそうな顔も見せず、国民に王子の生まれたことを知らせたら、またすぐに亜里沙の元に戻ってしまった。