夢幻の騎士と片翼の王女
「リュシアン様、少しお話したいことがあるのですが…」
ある時、俺はジゼルに声をかけられた。
「話とは何です?」
俺は、人気のない庭の片隅で、ジゼルに問いかけた。
「アドルフ様の側室のことです。」
「あぁ…側室がどうかしましたか?」
「リュシアン様もあの人に側室がいることをご存知だったのですか?」
ジゼルの酷く驚いたような顔に、私は思わず吹き出してしまった。
「なぜ笑われるのです?」
「なぜって……良いですか、ジゼル様。
亜里沙…アドルフの側室ですが…あの女は元はと言えば、私のものだったのですよ。」
「どういうことです!?」
「ある領主が、私の玩具にと亜里沙を差し出しました。
ところが、そんな亜里沙に一目惚れしたアドルフが、どうしてもその女がほしいと陛下に懇願し、それで、亜里沙はアドルフの側室となったのです。」
「そんなことが!?…そ、それで、それはいつ頃の話なんですか?」
「ちょうどあなたとのご婚礼が決まった頃でした。
陛下は、アドルフへの結婚祝いと思って堪えてくれと、私におっしゃいました。」
「な、なんですって…!?」
怒りのためか、ジゼルの顔はまっ赤になり、険しい顔つきに変わった。
その怒りはもっともだ。まさか、そんなに前から側室がいたなんて…しかも、婚礼の頃からだなんて、ジゼルは知らなかっただろうから。
半年間、亜里沙が塔に幽閉されており、その間、二人が会ってないことはあえて言わなかった。
ちょっとした俺の悪意だ。
ある時、俺はジゼルに声をかけられた。
「話とは何です?」
俺は、人気のない庭の片隅で、ジゼルに問いかけた。
「アドルフ様の側室のことです。」
「あぁ…側室がどうかしましたか?」
「リュシアン様もあの人に側室がいることをご存知だったのですか?」
ジゼルの酷く驚いたような顔に、私は思わず吹き出してしまった。
「なぜ笑われるのです?」
「なぜって……良いですか、ジゼル様。
亜里沙…アドルフの側室ですが…あの女は元はと言えば、私のものだったのですよ。」
「どういうことです!?」
「ある領主が、私の玩具にと亜里沙を差し出しました。
ところが、そんな亜里沙に一目惚れしたアドルフが、どうしてもその女がほしいと陛下に懇願し、それで、亜里沙はアドルフの側室となったのです。」
「そんなことが!?…そ、それで、それはいつ頃の話なんですか?」
「ちょうどあなたとのご婚礼が決まった頃でした。
陛下は、アドルフへの結婚祝いと思って堪えてくれと、私におっしゃいました。」
「な、なんですって…!?」
怒りのためか、ジゼルの顔はまっ赤になり、険しい顔つきに変わった。
その怒りはもっともだ。まさか、そんなに前から側室がいたなんて…しかも、婚礼の頃からだなんて、ジゼルは知らなかっただろうから。
半年間、亜里沙が塔に幽閉されており、その間、二人が会ってないことはあえて言わなかった。
ちょっとした俺の悪意だ。