夢幻の騎士と片翼の王女
求婚(side 亜里沙)




真夜中にふと目が覚めた。
私は、少しだけ夜風にあたろうと、窓を開けた。



(……良い気持ち……)



涼やかな風が頬を撫でる…
空には、まんまるな月…



(リュシアン様…)



丸い月に、リュシアン様の顔が重なった。
優しく微笑むリュシアン様の顔…



どうして、リュシアン様は私にこれほど優しくして下さるんだろう。
ここに来てから、リュシアン様は私をあちこちに連れて行って下さった。
そのおかげで、私はどれほど気が晴れたことか。



こんなに良くしてもらって良いのだろうか?
私には、リュシアン様にしてあげられることなんて、なにもないのに…



そう思うと、丸い月が急に霞んで見えた。
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