夢幻の騎士と片翼の王女
木陰に腰を下ろして休んでいた時、ふと遠くの風景に目がいった。



(あそこから始まったんだよね…)



それは、うっすらと見える森…



あの時、別荘の屋根裏で私は小箱をみつけた。
子供の頃どこかで拾った、どうしても蓋の開かなかった小箱だ。
不思議なことにその蓋が開いて、その中にあった、赤い指輪をはめた瞬間、眩い光に包まれて…
気が付いたら、私は森の中にいた。



(そう…あの森から始まったんだ。)



突然、見知らぬ森にいたからびっくりして…
薄暗い森の中を歩いてた時は、本当に心細かったな。
しかも、ここに住んでる人たちが、皆、外国人でまたまたびっくりしたっけ。



そんなことを考えながら、私は、歩き出していた。
あの森を目指してゆっくりと…



教会をみつけて、そこに助けを求めて…
神父様が、いろいろと私のことを気遣ってくれて…



教会で出してもらった質素な食事…
電気もなにもない部屋は、ランプの明かりを消したら真っ暗で静かすぎて、なんだか眠れなかったよね。



小さな思い出に浸りながら、私は少しずつ森に近付いて行く…


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