夢幻の騎士と片翼の王女
帰還(side 亜里沙)
(あぁ、びっくりした…)



「えっ!?」



私は思わず声を上げていた。
だって…目を開けたらそこは…



「どうして!?」



まだ光の残像の残る私の目に映ったものは…別荘の屋根裏のものだった。
鼓動が急に速くなる…



私……夢を見てるの?



目の前の光景がまだ信じられない。



でも……触れる。
あの小箱に私は手を触れていた。
この感触は、幻だとは思えない。



(連絡しなきゃ…!)



私は階段を駆け下りた。
まさに、ここは別荘だ。
間違いない。こんなに鮮明な夢を見るわけないし、やっぱりこれは現実なんだ。
私は、受話器を手に持った。
そして、家の番号をプッシュする。



聞こえて来る呼び出し音に、胸が高鳴る。



(出て!誰か、お願いだから…!)



「はい、松下でございます。」

懐かしいお母さんの声に涙が溢れた。



「わ、私……」

「え?」

「亜里沙…亜里沙だよ。」

「えっ!?あ、亜里沙…?
あなた、本当に亜里沙なの!?」

「う、うん、亜里沙だよ!」

嬉しくて…びっくりして…ほっとして…
涙が止まらなくなった。
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