夢幻の騎士と片翼の王女
次の日もまたその次の日も、私は警察の人に話を聞かれた。
答えに詰まったら、泣いて誤魔化した。
いえ、誤魔化すも何も、勝手に涙が込み上げただけのこと。
疲れたとか具合が悪いと言って、少し休ませてはもらったけど、そんなのは一時しのぎにすぎない。



さらに、病院にも連れて行かれた。
いろんな病院でいろんな検査をされて…恥ずかしい想いもした。
もちろん、精神科にも連れて行かれた。



そんな毎日に、私はすっかり疲弊してしまい、少しずつ、心をむしばまれて行った。
心と体は繋がってるから体調も優れず、それで両親が警察の人に話をしてくれて、話をする時間や回数は減ったけれど、それでも私の心が晴れることはなかった。



眠れない…
何もしたくない…
わけもなく悲しくて、涙が出てしまう…



こんな時、思い出すのは決まってユーロジアのことだった。
やっと、本来の世界に戻って来られたっていうのに、どうして…?



ユーロジアの綺麗な風景が…
そして、リュシアン様の笑顔が、恋しくてたまらず…また涙がこぼれた。
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