夢幻の騎士と片翼の王女




「なんだ、またそんなに残して…
もう入らないのか?」

「うん…だらだらしてるせいか、あんまりお腹がすかなくて…
ごめんね、せっかく作ってくれたのに…」

「そんなことは気にしなくて良い。
じゃあ、せめてヨーグルトでも食べたらどうだ?」

「うん、そうだね…」



食べたくはなかったけれど、兄さんを安心させるため、食べておくことにした。



「まだ家には帰りたくないのか?」

「……うん。」

「そうか…」



どこか気まずい沈黙…



「あ、あの、お兄ちゃん…彼女さんとはうまくいってるの?」

咄嗟に、私はそんなことを口にしていた。



「え?あぁ、大丈夫だ。」

「ごめんね…私のせいで、離れ離れになっちゃって…」

「何もお前が謝ることなんてない。
あいつとは、毎日、LINEでやりとりしてるし、何の問題もないから。」

「……でも、私がこんなことにならなかったら、お兄ちゃんは、その人と結婚してたんでしょう?」

「そりゃあ、そうかもしれないが…でも、俺と彼女はこんなことくらいじゃ別れたりしない。
だから、お前は何も心配しなくて良いんだ。」

私を気遣ってくれる兄さんの言葉が、なぜだか私を苛立たせた。
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