夢幻の騎士と片翼の王女
千里眼(side リュシアン)
(亜里沙……)



俺の頭に浮かぶのは、亜里沙のどこか悲し気な微笑み…



あれからもう五年近くの時が流れた。
皆はもう亜里沙は生きていないと言う。
こんなにみつからないのは、きっと、どこかで命を絶ったのだと…



だが、俺はまだあきらめてはいない。
俺は絶対に彼女を探し出すつもりだ。
亜里沙はそう簡単に死んだりしない。
俺はそう信じている。



もう少しすれば、ニコラは十二になる。
そうすれば、俺はまた昔の役立たずの馬鹿王子に戻れる。
自由になれるんだ。
そうなったら、俺は今までよりもずっと本格的に亜里沙を探そうと思っている。
人任せになんかしていられない。



だが、この数年間もできうる限りの手は尽くした。
それでも、手掛かりすらみつからない。
一体、これからどうやって探せば良いのか…



いや、弱気になってたまるか。



(俺は絶対におまえを諦めない…必ず、見つけ出すからな!!)



夜空に煌めく星々に、そう誓った。
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