夢幻の騎士と片翼の王女




(亜里沙…一体、どこにいるんだ?)



二コラは無事に十二の誕生日を迎え、俺は、また自由な身に戻った。
それから俺は、毎日城を抜け出して亜里沙を探しまわった。
だが、闇雲に探し回っても、それは徒労に終わるだけだった。



亜里沙の手掛かりは、何ひとつみつからない。
それも仕方のないことだ。
亜里沙がいなくなってから時が経ち過ぎている。
それに、彼女はまるで神隠しにでもあったかのように、姿を消している。
亜里沙らしき女性が市の近くの森に行くのを見たという証言以外、誰も彼女を見た者がいないのだ。



やはり、これは国王陛下の陰謀なのだろうか?
森の中で亜里沙を待ち伏せして、どこかに連れ去り…まさか、殺害した…?
いや、国王陛下は嘘を吐かれる方ではない。
俺に、亜里沙のことは何も知らないとおっしゃったのだから…
もし、俺と亜里沙の結婚を反対されていたとしても、いくらなんでもそこまでされるはずはない。
現に亜里沙がいなくなってからも、俺に無理やり誰かと結婚させようとはされなかった。



だが…もしも、これが遺恨だとしたら…
アドルフやジゼルが死んだことを、陛下が亜里沙のせいだと思われていたら…



まさか、そんなこと…



あり得ない!陛下はそんなことをする方ではない!



そう思いながらも、現実は陛下を疑わなければ辻褄が合わないような状況で…



(なにか、手掛かりはないのか…なにか……)



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