夢幻の騎士と片翼の王女
それからも、毎日、毎日…俺は、亜里沙を探して歩いた。



だが、やはり何もみつからない。



気持ちは焦り、苛立つばかりだった。



そんな日々の中で、俺は、国王陛下への疑惑がどんどん大きく膨らんでいくのを感じていた。
この国の中は、隅から隅まで探したとも言える。
なのに、何の手掛かりもない。
それはやはり不自然なことだとしか思えなかったからだ。







「チャールズ…俺はどうしたら良いんだ?
こんなに探してもみつからないなんて…」

ある時、あまりにも辛くなって、ついチャールズに愚痴をこぼしてしまった。



「リュシアン様…実は、ひとつ秘策があるのですが…」

「秘策?どんなことだ?」

「……カイヤという者をご存知ですか?」

「カイヤ?知らん。
どういう者なのだ?」

「千里眼を持つ女です。」

「千里眼だと…?
チャールズ…お前、俺をからかっているのか?」

「か、からかうだなんて、滅相もございません!」



俺も落ちたものだ。
そんなまやかしのようなものをすすめられてしまうとは…



「リュシアン様がお信じにならないのも当然ですが、カイヤの所には引きも切らず客が押し寄せておりまして、みてもらうには今から半年待たねばならないとか…
カイヤにみてもらったことで、問題が解決した者は数えきれないと言います。」

「そうか、それなら半年後にみてもらうとするか。」

「リュシアン様のご依頼となれば、すぐにみてくれると思います!
早速、今からカイヤのもとへ使いを出しましょう!」



チャールズは、慌ただしく外へ飛び出した。
俺は皮肉で言っただけなのに…



それにしても、今の俺は、そんなに情けなく見えているのか…まやかしに頼らねばならない程に…
そんなことを思ったら、ふと、苦い笑みが浮かんだ。

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