夢幻の騎士と片翼の王女




「リュシアン様!カイヤを連れて参りました!」



数日後、チャールズは本当にカイヤなる者を城に連れて来た。
そこまでされたら、会わないわけにはいかない。
あまり気は進まなかったが、一応、会うことにした。



「リュシアン様、この者がカイヤです。」

そこにいたのは、やけに派手な身なりをした、小柄な中年の女だった。



「よくぞ参った、顔を上げよ。」

「リュシアン様、ご尊顔を拝しまして恐悦至極に存じます。ん?」

顔を上げたカイヤが、おかしな表情を浮かべた。



「……どうかしたのか?」

「い、いえ…騎士の姿が見えたものですから。」

「騎士…?」

やはりいい加減な者だ。
俺には、特に親しくしている騎士などいない。



「とりあえず、俺はある女を探している。
その女がどこにいるか、わかるか?」



カイヤの答え等期待はしていない。
どうせ、当たるはずがないのだから。
しかし、俺をみつめるカイヤの瞳は、確かに普通の者とは何かが違った。
心の奥底まで見透かされるような…動けなくなるような…ものすごい眼力を持っていることだけは間違いなかった。



「……その方はこの世界にはもうおりません。」




やはりそうか…
俺は落胆した。
もしや、この者には本当になんらかの力があるのかと、ちらっと考えていた矢先、カイヤは他の者と同じことを言ったのだから。

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