夢幻の騎士と片翼の王女
「申し訳ございません。
どうやら私の千里眼が曇っているようです。」

カイヤは自信をなくしたかのように、深くうなだれた。



「……気にすることはない。
それで……どうしたら、俺は彼女に会える?
どこに行けば良い?何をすれば良い?」

カイヤは、顔を上げ、また俺の顔を穴の開くほどじっくりとながめた。



「指輪でございます。
青い指輪が、鍵となるはずです。」

「指輪……?」

思い当たるものは特になかった。
指輪はあるにはあるが、ふだんはあまり身につけることはない。
特に、思い入れのある指輪もない。



「青という色の他にはなにかないのか?
俺には指輪なんて…」

「箱でございます。
遥か昔……そう…蓋のない箱です……」

「カイヤ…そなたは先ほどより、何を言っておるのだ?
蓋のない箱とはどういうことだ?もっとわかりやすく申せ!」

チャールズは苛々とした様子でカイヤをにらみつけていたが、俺はその時、心がざわめくのを感じていた。



そうだ…俺は知っている。
蓋のない箱を……



どこで見たのだろう?



カイヤは遥か昔と言った…



遥か…昔……遥か……



記憶の糸を手繰るうち、俺は、蓋のない箱の記憶に辿り着いた…!
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