夢幻の騎士と片翼の王女
「ちょ、ちょっと待ってくれ!
俺には理解出来ない。
そんな馬鹿げたこと…誰が信じるっていうんだ。」

祐一は、そう言って頭を抱えていた。



「君が信じられないのも無理はない。
だが、本当のことなんだ。」

祐一は何も言わなかった。
そして、彼はゆっくりと顔を上げた。



「まだしんじたわけではありませんが…
とりあえず、あなたは指輪の力によってユーロジアからここへ来た。
それで…あなたはこれからどうするつもりなんですか?」

「俺は…亜里沙と一緒に暮らしたいと思っている。」

「えっ!?」

「俺は、以前、亜里沙に求婚した。
その返事を待っているうちに、亜里沙が突然いなくなってしまったんだ。」

祐一はひどく驚いた表情を浮かべ、俺と亜里沙の顔を交互にみつめた。



「一緒に暮らすって…どうやって暮らす気ですか?
暮らすにはお金がかかる。
この世界で、あなたには何が出来るというんです?」

「そ、それは……
そうだ…俺は、歌が歌える。
吟遊詩人をしても良いし、狩りの腕にも自信がある。」

「吟遊詩人に、狩り…?」

祐一は、俺を見て呆れたような顔をした。
だが、なぜ彼がそんな顔をするのか、俺にはまるでわからなかった。
< 269 / 277 >

この作品をシェア

pagetop