夢幻の騎士と片翼の王女
「こ、こんばんは!」

教会の扉を開け、私は思わず叫んだ。



そこには、長椅子がいくつも並べられ、奥の正面には、女神のような像が祭られていた。
それを見て、やっぱりここは教会だったんだと私は確信した。



「どうかなさいましたか?」



奥の小部屋から出てきたのは、長身で若い神父らしき男性。
足首まである長くて黒い服を着ていた。
ただ、驚いたことに、その男性は金髪で青い目の外国人だった。



「あの……」

「あなたは……」



神父さんらしき男性は私を見て、酷く驚いたような顔をしていた。
でも、驚いたのは私の方。
だって、神父さんは日本語がとてもうまかったから。



「とにかく、こちらへ…」

「は、はい。」

私は、神父さんに促され、奥の部屋へ足を踏み入れた。



「狭いですが、そちらへおかけ…あ、その足は…!」

「えっ?」



神父さんに言われてふと見ると、私の足は血だらけになっていた。
そうだ…私、裸足だったんだって、今頃になって思い出した。
血を見たせいで感覚がよみがえったのか、今まで全く感じていなかった痛みを感じた。



「すぐに手当てを…」

そう言って、神父さんは慌てた様子で部屋を出て行った。
< 34 / 277 >

この作品をシェア

pagetop