夢幻の騎士と片翼の王女




「どうもありがとうございました。」

「いえ…しばらくは痛むかもしれませんが我慢して下さいね。」



神父さんは私の足を洗い、薬を塗って包帯まで巻いてくれて、サイズは少し大きいけど、サンダルのようなものを貸してくれた。
なんだか申し訳ないけど、今はご厚意に甘えるしかない。



「さぁ、お飲みください。」

「ありがとうございます。」

温かいお茶を出され、飲もうとしたら、お腹がぎゅうと鳴った。



「……お茶よりもお食事の方が良かったみたいですね。」

「い、いえ、そ、そんなこと…」

「私もそろそろ夕食を食べようと思ってたところでしたから…ちょっと待ってて下さいね。」

神父さんはくすくすと笑いながらそう言うと、また部屋を出て行った。



(もう、なんでこんな時に鳴るのよ!)



確か、私…夕ご飯は食べたはず。
うん、そうそう、スーパーで買って来たお惣菜とごはんを食べて、スイーツも食べた。
でも…あれから、森の中をてくてく歩いて…
ここまで来るのに、ずいぶん走ったし…
夕飯のカロリーはもう消化しちゃったんだな、きっと。



そんなことを考えてたら、またもお腹の虫が鳴いた。
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