夢幻の騎士と片翼の王女




「これはこれは、姫様…
こんなところにいらっしゃるとはお珍しい。」

「お久しぶりです、エドモンド。
今日はあなたに視てもらいたいことがあって参りました。」



私は、お城付きの魔導士・エドモンドの元を訪ねました。
魔導士の中でも、一番の古株で、一番優秀で、一番信頼が置ける人です。
年もずいぶん高齢らしく、白くて長いひげを蓄えています。
彼は、魔術を使うこと以外に、水晶玉を操り、人の未来の姿をみたり、カードを使って、心の中の悩みについて占うことが出来るのです。



「そうでしたか。
では、姫様…こちらにお掛け下さい。」

裏返しにされたカードの置かれたテーブルを挟み、私とエドモンドは向かい合わせに座りました。



「では……」

エドモンドは、両手でカードをかき混ぜ、そしてそれを三つの山に分けました。



「姫様…、これを好きなように重ねて下さい。」

私は言われた通りに、カードの山を重ね、エドモンドはまたそれをかき混ぜながら、規則的にカードを並べていきました。
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