夢幻の騎士と片翼の王女




(どこに行った?)



ハミルトン陛下との会話を早々に済ませ、私はアリシアの姿を探した。
しかし、この広い城の中でどこを探せば良いというのか…



その時、私はあることを思い出した。



(そうだ…あの男…確か、以前、会ったことがある…
しかし、誰だったか…)



私は懸命に、記憶の糸を手繰り寄せた。
貴族の顔など、いちいち覚えていない。



(あぁ…一体、誰なんだ!?)



苛々する気持ちを押さえ、さらに考えた。



(……そうだ…確かあいつは…ゼリア…
そうだ、ゼリアに違いない!)



そのことを思い出した時、私は同時にもう一つのことを思い出していた。
そう…今日、リュシアンの元に特別な女が届くということを…
そうか…特別というのは、異国の者ということだったのか。
そして、それを差し出したのがゼリアだ。



(と、いうことは……)



急がねばならない!一刻も早く…
アリシアをあんな獣に汚させるわけにはいかない!



私は、一目散にリュシアンの部屋へ向かって駆けだした。
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