夢幻の騎士と片翼の王女
「誰か…誰か、いないか?」
「は、はっ!」
アドルフの上げた大声に反応して、ひとりの使用人が部屋に入って来た。
「良いか、私が戻るまでこの女を見張っていろ。
リュシアンに指一本触れさせないようにな。」
「はいっ!」
そう言い残すと、アドルフは足早に部屋を出て行った。
何をするつもりなのか?
それよりも、奴はなぜこの女にそれほどこだわる…!?
わけがわからなかった。
だが…俺自身、この女を見て不思議な気持ちを感じている。
もしや、この女は人の気持ちを惑わすなんらかの力を持っているのか?
「あ、あの…私……」
女はか細い声を発した。
俺をみつめる心細そうな視線に、俺は思わず女を抱きしめたい衝動にかられた。
しかし、それは使用人によって妨げられた。
「何のつもりだ。」
「リュシアン様、申し訳ございません。
ですが、この女に指一本触れさせるなというアドルフ様のご命令ですから…」
……忌々しい。
しかし、俺は第一王子とはいえ、側室の生んだ子だ。
使用人が、正室の子であるアドルフの命令を最優先させるのは、仕方のないことだ。
女はますます不安げな表情で、俺をみつめた。
「……名はなんという?」
「は、はい、亜里沙といいます。」
「あり…さ……」
まただ…
その名を聞いた時、またなにかが頭の隅をかすめ、こころがざわざわとするのを俺は感じた。
「は、はっ!」
アドルフの上げた大声に反応して、ひとりの使用人が部屋に入って来た。
「良いか、私が戻るまでこの女を見張っていろ。
リュシアンに指一本触れさせないようにな。」
「はいっ!」
そう言い残すと、アドルフは足早に部屋を出て行った。
何をするつもりなのか?
それよりも、奴はなぜこの女にそれほどこだわる…!?
わけがわからなかった。
だが…俺自身、この女を見て不思議な気持ちを感じている。
もしや、この女は人の気持ちを惑わすなんらかの力を持っているのか?
「あ、あの…私……」
女はか細い声を発した。
俺をみつめる心細そうな視線に、俺は思わず女を抱きしめたい衝動にかられた。
しかし、それは使用人によって妨げられた。
「何のつもりだ。」
「リュシアン様、申し訳ございません。
ですが、この女に指一本触れさせるなというアドルフ様のご命令ですから…」
……忌々しい。
しかし、俺は第一王子とはいえ、側室の生んだ子だ。
使用人が、正室の子であるアドルフの命令を最優先させるのは、仕方のないことだ。
女はますます不安げな表情で、俺をみつめた。
「……名はなんという?」
「は、はい、亜里沙といいます。」
「あり…さ……」
まただ…
その名を聞いた時、またなにかが頭の隅をかすめ、こころがざわざわとするのを俺は感じた。