夢幻の騎士と片翼の王女
(あれっ?)



通路の突き当たりには高い塔があって、チャールズさんはその扉の鍵を開いた。



(わぁ……)



塔の中にあったのは長い長いらせん階段。
見上げただけで目が回りそう。
チャールズさんは、躊躇うことなくその階段を上り始めた。
だから、私も仕方なくそれに続いて上った。
ドレスの裾を踏まないように、裾をほんの少し持ち上げて…



しばらく上ると、息があがって足が痛くなった。
でも、階段はまだまだ続いている。
チャールズさんは、年配なのに平気な顔をして上っていく。
見かけによらずタフなんだなと感心しながら、遅れないように懸命に上った。



休みたいと言いたい気持ちを押さえ、流れる汗を拭いながら、必死に上る。



「あっ!」



不意にドレスの裾をつまんでた手が離れ、裾を踏んで危うく倒れそうになった。
相当疲れてるせいだ。
咄嗟に後ろのメイドさんが支えてくれたから、なんともなかったけど…



「大丈夫ですか?あと少しですから頑張って下さいね。」

私が転びそうになったことに気付いたのか、チャールズさんが振り向いて声をかけてくれた。



「……はい。」

足元に気を付けながら、それからまた長い階段を上って……



ようやく、私達は、最上階と思われる場所にたどり着いた。
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