夢幻の騎士と片翼の王女
「ジゼル、身体を拭いてくれ。」

「は、はい。」

ジゼルは言われた通りに、私の身体をタオルで拭った。
頬を赤く染め、視線をあちこちに泳がせながら、どこかうっとりとしたような顔をして…
ジゼルの頭の中は、私に抱かれることでいっぱいになっているのだろう。
身体が乾くと、私は寝室の方へ歩いた。
ジゼルも黙って着いて来る。
部屋に入ると、私は寝台に横になった。



「ジゼル…寝衣を脱ぐのだ。」

「え……は、はい。」



ジゼルの頬がさっきよりも赤みを強くした。
緩慢な動作ではらりと寝衣が床に落ち、ジゼルは下着姿になった。
これが、もっと魅力的な女なら、私も反応するのかもしれないが、私はそれを見てもただ苛々とするだけだった。



「下着もだ。」

「……はい。」



ジゼルは、戸惑うように小さな声で返事をすると、顔を上げることなく下着をはずした。
俯いたまま、胸と下腹部を隠すように腕を交差した。
色は白いが、特に魅力的な身体ではなかった。
元々、この女には関心すらないが、見た目だけでも良ければ、私ももっとすんなりとこの女を抱けたかもしれない。



「ジゼル…私を気持ち良くしろ。」

「えっ!?」



ジゼルは驚いたように顔を上げた。



「どうすれば男が気持ち良くなるのかくらい、勉強して来ただろう?」

「は、はい…」

ジゼルは顔を真っ赤にし、消え入りそうな声でそう答えた。



「ならば、早くしろ!」

少し強い口調で言ったせいか、ジゼルは寝台の傍に駆け寄った。
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