夢幻の騎士と片翼の王女
「あ、あぁ…あーーー!」



耳を塞ぎたくなるような嬌声だった。
まるで、ウシガエルのようだ。
彼女の触り方は未熟過ぎて、私の体はなかなか良い状態になれなかった。



(これが、アリシアなら……)



私は、無理やりにアリシアのことを考えた。
彼女の指はこんなに太くて湿ったものではないだろうが、それをアリシアだと思うことにした。
アリシアに触られているのだと、自分に暗示をかけ、私はどうにか自身を奮い起こすことが出来た。
あとは子種を挿入するだけだ。
なるべくジゼルを見ないように、彼女の後ろに周り、彼女のたるんだ身体を押さえ込んで突いた。
突いて突いて突きまくった。
背を逸らせ、声を上げるジゼルはまるで子豚のようだった。
彼女の叫びは喜びのためではない。
おそらくは痛みのせいだろう。
私は彼女に口づけのひとつもしてはいないのだ。
それでなくとも、彼女は男を迎え入れるのは初めてのはずだから、痛いのは当然だ。
しかし、そんなことは知ったことではない。
痛さから逃げようとする肉付きの良い身体を押さえ込み、私は非情にも抜き挿しを繰り返した。
愛情は感じないとはいえ、今までに抱いた使用人達は見た目が良かったせいか、まだ気持ちが良かった。
だが、今は気持ち良さを感じない。
私は目を閉じ、何度も何度も腰を振った。
これは、ただ単に子供を作るための行為だ。
王子としてやらなければならない義務なのだと、心の中で叫び続けて…



ジゼルの身体は熱を帯び、私達の密着する音が…痛みにもがくジゼルの声が鼓膜を震わせ…彼女の汗や体液や鉄のにおいが鼻に付く。
誰か、私の耳を塞いでくれ、鼻をつまんでくれと使用人を呼びつけたい気持ちだった。


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