夢幻の騎士と片翼の王女
怖い夢(side 亜里沙)




「ああっ……!」



心臓が口から飛び出しそうに激しい脈を打っていた。



目を開き、薄暗い部屋の中を見渡しながら、私は、それが夢だったことに気が付いた。



なんとも怖しい夢だった。
目の前で長い金髪の男性が刺されて、その剣が引き抜かれた時、まるで噴水のように赤い血が噴き出して…



私は恐怖と不安に、狂人のように声を張り上げて泣いていて…



自分が流した涙の熱さも身体の震えも、目の前で倒れた男性の血のにおいまで感じられるような、ひどく生々しい夢だった。



(勘弁してよ……)



小さな窓からはまだ陽の光は射していない。
ふと見ると、時計の針は、夜明けの時間を指していた。



私は水差しの水をグラスに注いで、それをごくごくと飲み干した。
そのおかげで、気持ちが少し落ち着いた。



(もう少し眠ろうっと……)



私はもう一度、ベッドに横になった。
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