ヴァージンの不埒な欲望

「『お前が自衛隊とかピンとこないけど、ジャンボの機長とか、嫌みなぐらい似合いそうだ』とまで加賀見に言われて、それに同意しながらも、やっぱり職業にはしたくないと思ったよ。近付きすぎないから、ただただ憧れていられるんだ」

そういう、ものなのだろうか?私には、拓夢さんの言葉がよくわからなかった。

それよりも!『機長の拓夢さん』というワードが、私のあるスイッチを押した。パイロットの制服姿の拓夢さんを、思い浮かべる。

!!ヤバい!似合う!カッコよすぎるーっ!

そういえば、前に読んだ乙女系ノベルに制服フェチのヒロインがいた。彼氏がパイロットで、せっ、制服姿のまま二人で、あんな事やこんな事を……なんて、シーンもあった。

私の妄想は、さらに加速していく。制服姿の拓夢さんが空港内を歩けば、きっと周囲の視線を釘付けだ。美人揃いのCAだって、絶対、拓夢さんを放っておかないはず。「機長、今夜は私を操縦してください」なんて、拓夢さんの右腕に自分の豊かな胸を押し付けて……

「…ちゃん。愛美ちゃん!どうしたの?顔、真っ赤だよ」

拓夢さんの心配そうな呼びかけに、私は妄想の奥底から、一気に現実に浮上した。

私ってば、なんてイタくて寒い、妄想をしてるのよーっ!

羞恥で全身は熱くなるのに、冷たい空気が背筋を降りていくようだ。


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