ヴァージンの不埒な欲望

自分の妄想を振り払うように、頭を左右に強く振った。妄想、終了っ!

「愛美ちゃん!?」

拓夢さんは驚いていたけど、何事もなかったように笑顔を向けた。

「大丈夫ですよ!あっ、公園に着いたんですね。拓夢さん、行きましょう!」

周囲の景色を見て、公園に着いていた事に気付いた。気分を変えるのに、ちょうどよかった!

市内の外れにある公園。私は普段、ほとんど公園に行く事はないから、場所を知っている程度だけど。

自分の妄想をごまかすように、拓夢さんを促して車を降りた。お弁当を入れた保冷バッグを持って、公園内に移動する。いつもは、スーパーに買い物に行く時のマイバッグとして使っているのだか、こんな風に使う日がくるなんて。

拓夢さんは荷物を持つと申し出てくれたが、ここは自分で持ちたいと遠慮した。

公園には、緑の芝生が広がっていた。ざっと見たところ、遊具は見当たらない。バドミントンをするカップルや、サッカーボールを蹴る親子連れなどが数組いる。お昼の時間をとっくに過ぎてしまったせいか、レジャーシートの上で寛ぐ人はいても、お弁当を食べている人は見かけない。

「あのベンチで食べようか?」

芝生の周囲に木製のベンチがいくつか設置されていて、拓夢さんはその一つを指差した。

「はい!ちょうどいい感じですね」

芝生の周囲には木も植えられていて、ベンチに日陰を作っている。


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