ヴァージンの不埒な欲望
夢の時間の終わり
今度作るお弁当のメインは、ハンバーグにしよう。煮込みハンバーグにすれば、前日から準備ができる。きのこなどを入れた、野菜たっぷりのトマトソースだ。
ハンバーグの付け合わせには、スパゲティ。なぜか、私の中で外せない組み合わせ。
ポテトサラダも入れよう。あっ、前回はデザートまで頭が回らなかったけど、今回は何か入れよう。
ウサギりんごなんて、どうかな?ちょっと、子どもっぽいかな?
すごく、悩む。拓夢さんはどう思う?と、心配になる。でも、それも楽しいと思える。自然と、顔がにやけてしまう。
お弁当作りも二回目になり、ほんのちょっとだけ、睫毛の先くらいの、余裕が出てきたかも。
今回も、お弁当作りの事を常に考えながらも、仕事はきっちりとこなしていた。いや、いつも以上に捗っていた。
平日に、予行演習をしたお弁当を職場に持っていった。
「愛美ちゃんのお弁当、おいしそう!」
志村さんが上げた声に、みんなの視線がさっと私のお弁当に集まる。
「あっ……」
やっぱり、何も反応できずに固まる私。周囲の先輩達は私にユル~い微笑みを向けただけで、何事もなかったように、お昼ご飯を食べ始める。
「えっ?……」
先輩達の反応に戸惑いながら隣の志村さんを見れば、ニコッと笑みを返されて、志村さんもお弁当を食べ始めた。