ヴァージンの不埒な欲望

私が好きだった少女マンガが、実写映画化された。その友人は、ヒーロー役のイケメン俳優のファンだった。二人で映画の話で盛り上がり、観に行く事になった。

萌以外の友人との、二人だけでのお出かけ。映画も楽しみだったが、友人とのお出かけ自体も楽しみにしていた。

結果は……ちょっと疲れてしまった。

映画は、おもしろかった。原作をとても大事にしている感じが、よく伝わってきた。マンガの、明るくコミカルな雰囲気もよく出ていた。

友人の好きなイケメン俳優は、無口でクールな印象の人だった。今回のちょっとチャラくて女の子大好きのヒーロー役とは、かなりイメージが違う。それが前評判としては、かなりよかった。『新境地開拓』なんて言われ方もしていた。

が、友人にはそれがよくなかったようだ。「イメージが違う!」と、何度も言っていた。

「意外に金髪は似合ってたけど。カッコいい!て思っちゃったけど。でもやっぱり、○○くんには黒髪が一番似合うの!愛美ちゃんも、そう思うでしょ?」

「あっ、うん。私も黒髪の方が好き、かな」

物語のヒーローの『黒髪が好き』は本当だから、それには素直に同意したけど。

それから私は、その俳優さんの『クールでカッコいい』所を、友人からさんざん聞かされた。

映画、おもしろくなかったのかな?その俳優さん、私は、すごくよかったと思ったんだけど。さすがプロだなぁって、エラそうに感心して観てたんだけど。


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