ヴァージンの不埒な欲望
目を開けて、ハァーっと息を吐く。
その人は、兄よりも背が高かった。
最後に見た、月の光を受けて佇むその人を思い描く。
書店で見ていた時から思っていたけど、傍で見上げて、確実に一八○センチ以上ある事がわかった。
細身でスタイルがいいから、兄のような妙な威圧感はないけど。
でも、しっかりと肩幅は広かったし、手も大きかった。
沈みこんでいた気持ちが、フワリと舞い上がるのを感じて、その人を思いながら静かに目を閉じた──