ヴァージンの不埒な欲望
そんな時、営業事務の一年年下の子に言われたのだ。「星野さん、調子にのり過ぎましたね」て。
最初は何を言われているのかわからなかったが、その子の言葉を全部聞いて、ようやくそうだったのかと気付いた。
「またか」私の正直な気持ちは、それだった。どうして?私から声をかけた訳ではないのに!
納得いかない気持ちはあったが、何とかやり過ごそうとした。
私はそれまで、そうしてきたから。相手とできるだけ距離を置き、みんなが忘れてくれるのを静かに待つ。
今回もそれで何とかなると思っていた。
営業さんから渡された伝票が消える事があった。「折り返しの電話を頼んでいたのに!」と、取引先の人に怒られた。
そこまでは、私が頭を下げて済むならと、なんとか耐えた。
得意先から急ぎの発注があったのに、私はその発注書を見ていなかった。
得意先からの確認の電話で初めて知り、慌てて仕入先に発注をかけた。
何とか納期には間に合ったが、仕入先にも担当の営業さんにも、かなりの迷惑をかけた。
ここまでされるとは、思っていなかった。
親友の萌にだけ、この事を話していた。「会社を辞めようと思う」と話したら「今まで、よくがんばったね」と一緒に泣いてくれた。
会社に辞表を提出して、有給休暇の消化中に必死に次の仕事を探した。