ヴァージンの不埒な欲望
拓夢さんと別れる頃には、こんな勘違いをしそうになっていた。
連絡先を交換して、また珈琲館の前で別れた。拓夢さんが自宅まで送ると言ってくれたけど、私は車で来ていたので、気持ちだけをいただいた。
「また、連絡するから」
人差し指の背で、スルリと頬を撫でながら言われた言葉に、私は真っ赤に染まった顔で頷いた。
「愛美ちゃんのヴァージンをもらう事はできないけど、彼氏になったつもりで、愛美ちゃんが変わる為のレッスンをしようと思ってる。いいかな?」
珈琲館のボックス席を立つ直前に、拓夢さんから言われた。私は今と同じように真っ赤に染まった顔で、頷くのがやっとだった。
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自宅に帰り、どこか熱に浮かされたような気持ちのまま、スケジュール帳に挟んでいた名刺を、そっと取り出した。
この名刺が無かったらきっと、今日の出来事は、私の願望が見せた幻だったと思ったに違いない。
その名刺を眺めていた私は、AKパートナーズのホームページがある事に気付き、スマホで検索してみた。
ホームページには、スタッフの紹介ページがあったので開いてみた。
上半身が写った写真入りで、スタッフは紹介されていた。
うん、これは絶対写真入りで紹介するよね。
最初に登場したのは、加賀見さん。AKパートナーズの代表となっている。