ヴァージンの不埒な欲望
そんな萌も私と同じで、“彼氏いない歴=年齢”だったのに。
萌の事、ちゃんと見てくれていた人が傍にいた。
萌の二十五才の誕生日、吾朗さんが告白したのだ。「そろそろ、現実のオトコと付き合ってみない?」と。
萌は二次元寄りだけど、普通に三次元の男の人にも興味はあった。ただ、きっかけがなかっただけなのだろう。
長い付き合いで、ずっと萌にも優しくしてくれた吾朗さんに、好意は感じていたようで。
「告白された」と、熟したトマトに負けない真っ赤な顔で報告してくれた萌。照れながらも、嬉しさが抑えられていなかった。
二人はすぐに、すてきな恋人同士になった。
萌に彼氏ができた事は、本当に嬉しかった。萌の幸せそうな顔に、私もたくさん元気をもらった。
でも……それだけじゃない気持ちも、ある。萌が羨ましくて、独りの自分が寂しくて……そんな事を思う自分が、またイヤになる。
今回私が、自分でもびっくりするような行動がとれてしまったのは、どこかに焦りのような気持ちもあったのかもしれない。
私がボンヤリと考えこんでしまっていても、自分の世界にトリップした萌は、瞳をキラキラさせながら続けた。
その社内研修の講師というのが、拓夢さんだった。拓夢さんの会社名もしっかり確認した萌は、私と同じ行動をとった。