ヴァージンの不埒な欲望

スマホでAKパートナーズを検索し、ホームページを見つけて、スタッフ紹介のページを開いた。

「スタッフの顔面偏差値が高くって、びっくりしたわ。そりゃ写真も載せちゃうわよね!」

『顔面偏差値』て。その言い方はどうかと思うが、私と同じ事を思った萌に曖昧に笑った。

「吾朗くんも言ってたんだけど、安西さん達のプロフィールを見て、また『キャー!』てなっちゃった。顔よし、頭よし、仕事もデキる。神様って不公平よね」

私と同じ様な事を思っている萌に「はは……」と渇いた笑いを溢す。

「そんな細かい情報はなかったといえ……と言うより、名前さえも知らなかったような人に、“恋愛恐怖症”の愛美が自分から声をかけて、あんな大胆な事を言えちゃったんだ!」

トリップしてキラキラしていた萌の瞳が、スッと目の前の私を見つめる。その瞳には、もう浮わついた色はなかった。

「それだけ安西さんに惹かれて、愛美の心と身体が動かされたんだね」

優しく笑みを浮かべる萌に、ポッと頬が熱くなる。自分の心を、萌に見透かされているような気がしたから。

「安西さんって、隣の県の出身だったね。都会の人っぽく見えるのに、意外だよね。……吾朗くんがね、一番印象に残ったっていう安西さんの話があってね」

そう言って、ゆっくりと萌は話してくれた。

田んぼと、山と海と。豊かな自然に囲まれて育った田舎者の自分が、日本中の誰もが知っているような有名企業の重役達と対峙する。


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