ヴァージンの不埒な欲望

私はわりと一人で出かける事が多いので、図書館に行ってくると言えば、いつも通りに母に送り出された。

若干心は痛んだが、心の中で母に謝った。嘘をついて出かけるのは、そう長い間ではありません。今だけだから、ごめんなさい!

緊張しながら家を出たら、二十分前には公園に着いてしまった。駐車場に車を止めて、深呼吸を繰り返した。

金曜日の夜に、今日の待ち合わせ時間のメッセージが届いてから、ずっとドキドキしている。

どこに行くのか、何をするのかもわからない。『普段通りの愛美ちゃんでいいから』なんて、拓夢さんのメッセージには書かれていたけど……

『普段通り』の私で、拓夢さんの傍にいても大丈夫?かといって、『特別感』をどうやって出していいのかもわからない。多くはないお出かけ用の服を身体に当てながら、自分の女子力のなさに自室の姿見の前で項垂れるしかなかった。

図書館に行く事になっているのに、あまりおめかししていても変よね……最後はそう自分に言い訳をして、お出かけ用の紺色のワンピースにベージュのカーディガンを羽織った。

自分の強くて早い鼓動を感じながら、愛車の中で拓夢さんを待った。

早く来すぎてしまうから、ドキドキしながら拓夢さんを待つ事になるのよ!……でも、私なんかが拓夢さんを待たせるよりは、ずっといいよね!あぁ、拓夢さん、早く来てほしい……やっぱりダメ!全然、ゆっくりでいいから!

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